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経営・マネジメント

PDCAサイクルを回すために必要なこと

PDCAサイクルが重要である。

経営の教科書には必ず書かれています。
しかし、実際に行われているかというとそうではありません。

とくに「C(検証)」が実施されないケースが多いようです。

その理由と対策について考えてみます。

 

検証可能な計画を“全部門”に作らせる

PDCAサイクルが回らない最大の理由は、検証可能なP(計画)がないことです。
検証可能な計画がないと、「前月より良かった・悪かった」という抽象論に行き着きます。
結果、責任の所在が曖昧になり、何度も同じことを繰り返すことになります。

検証とは、目標に対する行動が適切だったかどうかを検証することです。
誰が(Who)、いつまでに(When)、どんな施策(How)を行うのかを明文化し、社内で共有することが重要です。

 

ただし、ここでポイントがあります。
明文化の作業を特定部門だけに押し付けないことです。

とくに営業部門は数字で評価されるため、実現可能性の高い計画が求められます。

 

企業の収益の根幹は売上ですから、営業部門の責任が重いことは理解できます。

しかし、企業は営業部門だけで成り立つものではなく、製造、経理、人事など、全ての組織が一体となって、はじめて目標が達成できます。
「売上をあげるのは営業部門の仕事」といった縦割り意識を除外するためにも、全部門に対して目標達成に向けた計画を提出させることが重要です。
経理部ならば、「営業マンの負担を減らすための入金管理システムを今期中に導入する」といったように、間接的に売上達成をサポートする施策はあるはずです。

 

検証対象部門をローテーションする

次に検証方法についてです。

そもそも業績悪化の原因は、複雑に絡まっていることがほとんどです。

ですから原因をひとつに決めつけることは避けたいものです。
「売上が未達成」とひと言で言っても、「営業部門の戦略が間違っていた」こと以外に、「生産量が足りず欠品した」「本部からのフォローが足りなかった」こともあるでしょう。

 

本来ならば責任の所在をはっきりさせることは組織運営として当然のことですが、人間誰しも当事者になるのは避けたいので、「営業が悪い」「製造が悪い」「本部が悪い」と責任のなすりつけ合いに終始してしまいます。

 

そこでお勧めしたいのは、検証対象をローテーションするというやり方です。
たとえば、1月〜3月は営業強化期間、4月〜6月は製造効率化期間、というように、期間を区切って重点検証部門をローテーションさせるのです。

 

とくに営業のように数字が見えやすい部署は、検証もしやすいので、どの部門よりも追求されがちです。
経営会議で集中砲火を浴びるのは、たいてい営業部門です。

責任ばかり追求されるとモチベーションは下がってしまいますし、他部門は責任を感じません。

検証対象をローテーションすることで、特定の部署だけに責任をなすりつけるのを避けつつ、全社的な責任感を醸成することができます。

 

もちろん、検証対象以外の部門にも定期的に検証結果を提出させることは必要です。
その中で、早急に対応しなければならない問題点がある場合は、経営者が個別に部門長に確認しておきましょう。