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補助金・助成金

ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据えた事業計画が必須に。第6回「事業再構築補助金」ポイント解説

第6回「事業再構築補助金」の募集要項が発表されました。
新型コロナ感染拡大という逆境からの脱却を後押しするために設けられた制度であり、支給される補助金額が大きいことから注目度の高い補助金です。

 

他の補助金同様、今回から募集要項が大きく変更されています。
初めて申請される方はもちろん、再申請を検討されている方も募集要項を十分に理解し、準備を進めることが必要です。

 

<「事業再構築補助金」の詳細はこちら>
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

 

申請類型の見直し

使用使途によって複数の申請類型がありますが、今回から以下の通りとなりました。
なお、過去と同じ申請類型であっても、企業規模によって補助内容が変更されているので注意しましょう。

 

通常枠(継続)

新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援。

 

・補助金額

中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数20人以下】      100万円 ~ 2,000万円
【従業員数21 ~ 50人】   100万円 ~ 4,000万円
【従業員数51 ~ 100人】 100万円 ~ 6,000万円
【従業員数101人以上】    100万円 ~ 8,000万円

 

・補助率

中小企業者等 2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等  1/2(4,000万円を超える部分は1/3)

 

大規模賃金引上枠(継続)

多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援。

 

・補助金額

中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数101人以上】8,000万円超 ~1億円

 

・補助率

中小企業者等 2/3(6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等  1/2(4,000万円を超える部分は1/3)

 

回復・再生応援枠(新設)

新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援。

 

・補助金額

中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】  100万円 ~    500万円
【従業員数6〜 20人】100万円 ~ 1,000万円
【従業員数21人以上】 100万円 ~ 1,500万円

 

・補助率

中小企業者等 3/4
中堅企業等  2/3

 

最低賃金枠(継続)

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援。

 

・補助金額

中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】  100万円 ~    500万円
【従業員数6〜 20人】100万円 ~ 1,000万円
【従業員数21人以上】 100万円 ~ 1,500万円

 

・補助率

中小企業者等 3/4
中堅企業等  2/3

 

グリーン成長枠(新設)

研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援。

 

・補助金額

中小企業者等 100万円 ~1億円
中堅企業等  100万円 ~1.5億円

 

・補助率

中小企業者等 1/2
中堅企業等  1/3

 

売上高減少要件の緩和

今回から、売上高の減少要件が以下の通りとなりました。

 

2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等

 

前回までは、上記の要件に加えて「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること」を満たす必要がありましたが、今回から削除されました。

 

なお、「グリーン成長枠」については売上高の減少要件は不要とされています。

 

申請類型によって採択率が変わる

今回の募集要項には、

 

最低賃金枠」は加点措置を行い、「回復・再生応援枠」に比べて採択率において優遇する

 

と明記されています。

賃金の引上げを目指す政府の意向を踏まえた措置と考えられます。

 

ただし、採択率の高さに釣られて安易に「最低賃金枠」で申請するのは考えものです。
賃金引上げは一過性のものではなく継続性が求められるだけに費用負担が重くのしかかります。
目先の損得だけでなく、中長期的な観点から申請類型を検討することが重要です。

 

リース会社との共同申請が可能

中小企業等がリースを利用して機械装置やシステムを導入する際に支払うリース料も補助対象ですが、今回から中小企業等とリース会社の共同申請が可能となります。

 

この場合のリース会社については、中小企業者等または中堅企業等に限りません。

すなわち大手リース会社との取引も補助対象となります。

 

ただし、補助金が支給されるのは、リース会社に対してです。
また、補助対象となるリース形態は「ファイナンス・リース」であって、「オペレーティング・リース」ではありません。
リースの仕組みや契約内容をしっかり確認した上で申請しましょう。

 

補助対象経費の要件見直し

補助対象経費として10項目あります。

ただし、同じ経費科目であったとしても対象範囲が変更されていたり、要件が追加されていたりしますので、どの費用が補助対象となるか事前に確認しましょう。

 

大きな変更点として、以下の2項目があります。

 

建物費

今回から建物の新築について、「真に必要不可欠であって代替手段が存在しない場合に限る」という極めて厳しい要件が追加されました。

裏を返せば、安易な建物の新築はお断り、というメッセージが込められているとも言えます。

建物費は申請額の大きなウェイトを占める費用項目だけに、審査基準を厳しくしたものと考えられます。

 

研修費

研修費とは「本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費」を指します。
今回から補助対象経費総額(税抜)の1/3という上限が設けられました。

 

ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据えた審査姿勢

今回から審査項目・加点項目も見直されていますが、とくに注目したいのは、政策点に次の文章が追加されたことでしょう。

 

「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか

 

これまでの延長線上ではなく、事業構造を根本から変えてほしいという意図が込められているように感じます。
とくに再申請を検討されている方は、既存の事業計画書を根本から見直す必要がありそうです。

 

最後に

第6回「事業再構築補助金」の申請締切は、6月30日(木)18:00までです。

この補助金はインターネットによる電子申請が必須となっています。

締切間際になると申請画面へのアクセスが集中し、操作がしづらくなる事象が多発しています。

 

また、入力項目や添付書類が多岐にわたるため、申請要件を満たさず不受理になる確率が圧倒的に高いという特徴があります。
とくに初めて申請される場合は、早めに認定経営革新等支援機関へ連絡の上、準備することが必要です。

 

石川県中小企業診断士会では、事業再構築補助金の申請に携わった経験のある中小企業診断士が数多く在籍しています。
具体的な申請手続きや事業計画書の策定などについてお困りの方はぜひお問い合わせください。

 

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