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採用・人事戦略のカギを握る「育児・介護休業法」の改正ポイントとは

間もなく「育児・介護休業法」が改正されることをご存知でしょうか。

 

育児・介護休業法とは、育児や介護をしなければならない労働者が仕事と育児・介護を両立できるよう、事業主が環境を整備し、労働者が継続的に働き続けられるよう支援するための法律です。

「育児か仕事か」「介護か仕事か」といった二者択一構造を解消し、労働者が多様な働き方を実践できることを目的としています。

 

改正は2022年4月と10月の二段階で行われ、とくに育児休業に焦点が当てられています。

その概要を解説いたします。

 

2022年4月の改正内容

育児休業取得推進のための環境整備の義務化

育児休業と産後パパ育休(詳細は「2. 2022年10月の改正内容」参照)の申出を促すため、事業主は以下の4項目のうちいずれかの対応が必要となります(複数項目の実施が望ましい)。

  • 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施(※管理職は必須)
  • 育児休業・産後パパ育休に関する相談窓口の設置
  • 育児休業・産後パパ育休の取得状況の公表(※労働者が閲覧可能であること)
  • 育児休業・産後パパ育休に対する会社方針の周知(※社内掲示版やイントラネットへの掲載)

 

制度周知と意向確認措置の義務化

本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対し、個別に制度の周知と意向確認措置が必要になります。

  • 育児休業・産後パパ育休に関する制度の内容
  • 育児休業・産後パパ育休の申出先
  • 育児休業給付に関すること
  • 育児休業・産後パパ育休中の社会保険料に関すること

 

2022年10月の改正内容

産後パパ育休制度の新設

男性の育児休業の取得促進のために新設される育休制度です。

育児休業取得率を男女別で見ると、女性82%に対して男性は13%程度と、男性の取得率が極めて低いのが現状です(2020年時点)。

政府は、男性の育休取得率を2025年までに30%に到達することを目標としています。

 

制度概要は以下のとおりです。

  • 子の出産後8週間以内に4週間(2分割可)まで取得可能

  ⇒原則、都度、2週間前までの申出が必要

  • 労使協定に定めた場合、個別に合意した範囲で休業中の就業が可能

 

育児休業制度の変更

  • 産後パパ育休とは別に、男女関係なく2分割での取得可能
  • 1歳以降の育児休業延長時の開始日の柔軟化

  開始日を柔軟化することで延長中も夫婦が途中交代しやすくなります。

  ※従来は、延長開始日は1歳または1歳6ヶ月到達時点に限定されていました。

   なお「保育所等に入所できない場合等」の要件は変更ありません。

 

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

育児・介護休業に共通する改正点として、2022年4月より有期雇用労働者の取得要件が緩和されます。

具体的には、雇用期間が1年未満の有期雇用社員を育児・介護休業の対象外とするという要件が撤廃されます。

労使協定を締結することで、有期雇用社員を引き続き対象外とすることはできますが、その場合は、育児・介護休業の規程・労使協定の変更が必要になります。

 

最後に

今回の法律改正によって、企業にとっては就業規則や労務協定の改訂が必要となると同時に、採用・人事戦略にも大きな影響が及びます。

 

とくに男性の育児参加が求められている中で、男性向け育休制度を拡充することは「働きやすい企業」であることを訴求することにつながり、優秀な人材を確保する上で有利になると考えられます。

 

育児・介護休業に関する就業規則・労務協定の変更、ならびに採用・人事戦略に関する助言を希望される方は、ぜひお問い合わせ下さい。

 

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