
新年、明けましておめでとうございます。
平素より石川県中小企業診断士会の活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
2026年も、どうぞよろしくお願いいたします。
早くも2年、復旧から復興へ

2024年元日に発生した能登半島地震から、早くも2年が過ぎました。
もう 2年。まだ 2年。
どのように感じるかは、その置かれた状況によって異なるのでしょうが、私たちとしては『もう2年経ったのか』というのが、正直な感想です。
2025年は、石川県内各地において地震からの復旧が大きく進みました。
奥能登地区では、まだまだ復旧半ばという地域もあるものの、2024年に比べれば能登を訪れる観光客も増え、復興段階に入っている企業や事業者も増えたと感じております。
当会では、能登空港や県庁での事業者支援センター、各地区の商工会議所・商工会に当会所属の中小企業診断士を派遣し、能登半島地震からの復旧復興に向けた支援を行っておりますが、
被災された事業者の皆様が、辛く困難な状況の中にあっても事業の再開や再構築に取り組まれており、その前向きな姿勢には、敬服の念を抱きます。
規模の大小を問わず、「地域に必要とされる事業を何とか続けたい」「次の世代につなげたい」という想いを持って行動されている姿は、私たち支援者にとっても大きな励みとなっています。
復興を支えるAIの浸透

こうした中、昨年2025年はAI(人工知能)の発達と企業への浸透が一気に進んだ年でもあったように思います。
県内各地の商工会・商工会議所等においてもAIをテーマとしたセミナーが積極的に開催されましたが、いずれも多くの事業者が参加されていた様子です。
また、当会においても、主催事業として“AIシンポジウム”を2回目の開催に至らせることができ、多くの関係者の皆様にご参加いただけました。
実際の窓口支援の現場においても、日常業務の効率化や顧客情報の整理、情報発信の効率化などにおいて、「AIを活用してSNSの運営業務を効率化できないか?」「データ入力を省力化できないか?」といった相談も多くなってきた他、「AIを導入したことで限られた人員でも業務を回せるようになった」「AIの分析を活かして反応率を高めることができた」といった声を耳にする機会も増えてきました。
人手不足や業務効率化といった中小零細企業に共通する課題に対応し、能登半島地震からの復興に向かう手段として、AI活用への関心と実践が着実に広がってきていることを実感しております。
AIは大企業のものだけでなく、中小零細企業にとっても、経営を支える大事なツールとなりつつあるのでしょう。
AIの発達・浸透で複雑化する市場

2026年に向けては、AIの技術的進化と社会への浸透がさらに加速することが予想されます。
AIの発達と浸透により、消費者はより自身の求めるものに合致した情報を取得でき、一人ひとりのニーズや状況に沿った商品やサービスを選ぶことが出来るようになり、より利便性の高い社会になるのではないかと思います。
しかし裏を返せば、商品やサービスを提供する企業や事業者としては、不特定多数に向けて提供することで成立していた「1:多」の市場から、よりニーズや状況が複雑化・細分化した「1:小」や「1:1」の市場に対応する必要性が高まっているとも言えます。
消費者視点で見れば利便性が高まる一方で、企業や事業者の視点で見れば市場の複雑化に対応するため、より「戦略性」や「独自の価値」が求められる。
つまり、事業における判断の難度が上がるのではないか?と思われるのです。
そのような環境において、私たち中小企業診断士もまた、時代の変化に対応していかねばなりません。
形なきものを言語化し、伝える力

企業や事業は、単なる組織や数字の集合体ではなく、一つの「生き物」だと言えます。
経営指標や財務数値といった「見えるもの」だけが、企業の価値や実態のすべてを表しているわけではなく、そこには経営者や従業員、さらにはその家族や取引先、地域の関係者による「有機的な繋がり」があり、互いに影響しながら成り立っています。
企業の中には経営者や従業員一人ひとりの想いがあり、その事業が家族の暮らしや地域社会を支えているという現実があるのです。
能登半島地震による被害を受けた能登地域では、地震直後ほどでは無くなったものの、未だに生活のため・家族のためにと、能登の地を離れる人が居られます。
そのため、事業に携われる人材が限られる中、AIを活用して業務を効率化し、人手不足という制約の中でも売上を確保し、利益を上げていくことは、能登の中小零細企業が事業を継続していく上で、今後ますます重要になることでしょう。
しかし、特に中小零細規模の企業にとっては、AIが企業や事業のすべてを理解し、隣に立って経営を支えるパートナーにまでなることは(まだ)難しいと考えます。
なぜなら、「言葉にならない想い・価値観」「その場の雰囲気」「なんとなく感じる違和感」といった言語化が困難な部分こそが、顧客に響く企業価値の根幹となっていたり、経営者や従業員のプライドやアイデンティティを支えているなど、企業の強みとなっていることが多々あるためです。
AIは大量の情報やデータを処理することは得意ですが、その能力は前提となる全ての情報があってこそ。
一方で、経営者や従業員にとっては、その前提となる情報を全て伝えることは簡単ではありません。
かつて求める情報を手に入れるためには”検索力”が大切だと言われた時代がありましたが、今後はAIを最大限に活用するためには”強みの源を把握し、言語化する力”や”情報を正しく伝える力”が大切だと言われるようになるのかも知れません。
人に寄り添い、未来へつなげる支援を

私たち中小企業診断士による支援は、単に数値的・金銭的なものに留まりません。
昨年の挨拶でも触れましたが、私たちの支援には、事業者や地域の”想い”や”文化”などの「目に見えない強み」を、傾聴と対話を通じて言語化・視覚化・整理し、商品やサービスといった「目に見えるもの」に変えて届けることも含まれます。
利便性が高まり、複雑さが増す市場において、そういった事業者一人ひとりの想いに寄り添うという支援の原点を忘れることなく、AIを含む最新のテクノロジーや市場動向を踏まえた専門的な支援を掛け合わせること。
それこそが、今後のAI時代における中小企業診断士の役割であり、地域に根ざした支援者としての存在意義ではないかと考えています。
石川県中小企業診断士会は、今後も関係機関と連携しながら、被災地域を含む県内中小企業の皆様に寄り添い、地域の方々と共に未来を紡ぐ支援を継続してまいります。
本年が、皆様にとって新たな可能性と前進の年となりますことを心より祈念するとともに、年始のご挨拶とさせていただきます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。