「小規模事業者持続化補助金<災害支援枠>」や「なりわい再建支援補助金」など、震災からの復旧・復興を後押しする補助金が出揃い、申請要件や計画書の書き方などに関する質問が数多く寄せられています。
被災された事業者の方にとっては、自分は対象となるのか、採択される確率はどれくらいか、が最も気になるところでしょう。
こうした補助金に注目が集まる一方で、去る3月8日、経済産業省・金融庁・中小企業庁からコロナに関連する資金繰り支援の延長と要件の一部緩和が発表されました。
この4月から、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済開始の最後のピークを迎えることを受けての措置です。
今回は、コロナ資金繰り支援の概略を解説します。
コロナ資金繰り支援が本年6月末まで延長
以下の図の通り、「民間金融機関」と「政府系金融機関」の4つのコロナ融資について、本年6月末まで延長されました。
今回が最後の延長になる可能性が高いです。
7月以降は、コロナ前の支援水準に戻しつつ、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援を基本とする、とされています。
「コロナ」というだけでほぼ無審査で融資していた段階から、事業計画の進捗を踏まえた通常の審査への切り替えが行われるということです。
残された時間は短いですが、まずは6月末までに当面の事業継続に必要な資金を確保した上で、融資返済に向けた計画を策定することが急務です。
資本性劣後ローンの要件緩和
以前まで、日本政策金融公庫のコロナ資本性劣後ローンを利用するには、民間金融機関との協調融資が必須でした。
今回から要件が緩和され、公庫単独での審査で融資ができるようになります。
なお、公庫の劣後ローンを利用するには、経営改善に向けた計画書を策定する必要があります。
計画の策定が困難な事業者には専門家による支援制度があり、専門家に支払う報酬については2/3を国が補助(ポスコロ事業)します。
資本性劣後ローンは、金融査定上、借入金でありながら自己資本として取り扱うことができます。
契約期間中は返済が不要なため、資金繰りを気にすることなく事業再建に邁進することができるという特徴があります。
もちろん、資本性劣後ローンには通常の融資にはないデメリットがあることに留意が必要ですが、多額のコロナ融資に加え、震災からの復旧・復興にかかる資金が必要な事業者にとっては、利用を検討する価値はあるでしょう。
資本性劣後ローンの詳細については、以下のブログにて解説しています。
<診断士ブログ>
多額のゼロゼロ融資返済の助け舟となるか!?
金融庁が推奨する「資本性劣後ローン」の特徴・留意点とは
https://sindanishikawa.com/blog/1403/
日本政策金融公庫が実施する資本性劣後ローンの詳細は、以下のリンクよりご確認ください。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html
年度変わりの人事異動に素早く対応する
この時期になると、金融機関による年度変わりの人事異動があり、新しい営業担当者や決裁者(支店長)との関係を再構築しなければなりません。
通常であれば、新任者が挨拶にきて、業績動向や計画の進捗などを詳しくヒアリングしてくれるでしょう。
ただし、今は震災有事であり、各担当者はその対応に追われているでしょうから、きめ細かな支援を受けられるとは限りません。
そこでお勧めしたいのが、事業内容、強み、資金動向、投資計画などをまとめた事業概略資料を作成することです。
担当者の情報収集に係る負担を減らすことで、具体的な支援策へと話が進めやすくなります。
事業概略資料にまとめた情報は、補助金申請にも転用できるというメリットがあります。
遅かれ早かれ、金融機関の人事異動は必ず訪れます。
少々骨の折れる作業ではありますが、新任者との良好な関係をいち早く構築するためにも、事業概略資料の作成を強く推奨いたします。
金融機関との良好な関係を築くポイントについては、以下のブログにて解説しています。
<診断士ブログ>
継続的な融資を受ける秘訣は、キーマンを知り人脈を構築すること
https://sindanishikawa.com/blog/554/
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当会には、補助金や融資に詳しい専門家が多数在籍しています。
被災された事業者の方に寄り添い、一日も早い復旧・復興を実現すべく全力で対応致しますので、どうぞ何なりとご相談ください。