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ピンチをチャンスに。過酷な状況下でも前に進むためにできることを考える

能登半島地震からもうすぐ2ヵ月。

時の経過とともに、元の日常生活を取り戻すための動きが本格化しつつあります。

 

同時に、中断していた事業活動を再開する動きも活発になっています。

当会にもさまざまな相談が寄せられるようになりました。

 

断水、無数のがれき、交通網の寸断など、依然として過酷な状況が続いており、元の状態に戻るまでには相当の時間がかかるでしょう。

だからと言っていつまでも立ち止まっているわけにはいきません。

 

苦しい状況ではありますが、従来では考えつかなかったことにチャレンジできる機会だと発想を転換させることも重要です。

 

今回は、過酷な状況下でも前を向いて事業再開を進めている事例を紹介します。

 

変化せざるを得ない状況で生まれた”気づき”

ある飲食店は、水道が使えないため店内にポリタンクを置くことにしたのですが、そのスペースをどうやって確保するかを思案していました。

 

目をつけたのは「什器」です。

 

什器棚を整理したところ、あまり使っていない什器が事のほか多かったとのこと。

さらに置き方にも無頓着だったため、棚には多くのデッドスペースがありました。

 

そこで、これまでの使用頻度を勘案し、約1/3の什器を使わないこととしました。

加えて、大きさや形状に応じて置き方を工夫したことでデッドスペースも解消。

結果、什器棚1つを撤去することにしたそうです。

 

水道が復旧すればポリタンクを撤去し、そのスペースには客席を設けるとのこと。

つまり、震災前よりも店内レイアウトの坪効率が向上するわけです。

 

断水という制約を受けたからこそ、これまで意識していなかった店内レイアウトのテコ入れに着手できたとも言えます。

地道な日々の改善が、のちに大きな成果となって返ってくるはずです。

 

足りないものは他社と補い合う

土木・建設事業者による道路復旧工事が急ピッチで進められているものの、従業員自身も被災者であることから、人員を確保するのが困難です。

 

ある土木事業者は、同業他社と提携し、共同で工事を行うこととしました。

単独で事業規模を拡大するのは至難の業ですが、提携ならば時間も労力もかかりません。

 

まさに「足りないものを補い合う」戦略と言えるでしょう。

 

通常ならば、ライバル企業には手の内を見せたくないものですが、この難局を乗り切るためには最善の方法ではないでしょうか。

 

その他の事例として、ある食品加工会社は、震災前から保存していた在庫を活用できないかと思案していたところ、異業種とのコラボにより、期間限定商品を開発しました。

 

こうした取り組みは、新しい顧客層へのアプローチにつながることは元より、商品開発力・加工技術力の向上にもつながるはずです。

 

なお、他社との提携を検討されている方は「復旧・復興マッチングサイト」を活用することをおすすめします。

独立行政法人中小機構が開設したサイトで、被災した事業者の復旧・復興ニーズに応えられる事業者を全国から募集できます。

 

<能登半島地震 復旧・復興マッチングサイト>

https://jgoodtech.smrj.go.jp/pub/ja/lp/noto/

 

メディアを積極的に活用する

連日、復旧・復興に向けた取り組みがメディアで紹介されています。

これらの情報源は「プレスリリース」です。

 

プレスリリースは、新商品・新サービス、新規事業の開始といった企業情報を、ニュース素材としてメディアが利用しやすいように文書にまとめたものです。

 

メディアには、各分野の担当記者がいて、プレスリリースをもとに記事を執筆しています。

メディアに紹介されれば高い宣伝効果が得られますし、業務提携新規事業につながるかもしれません。

 

復旧・復興に向けた取り組みを情報発信することはメディアの使命です。

自社の取り組みを文書にまとめてメディアに送付してみると良いでしょう。

 

新しい資金調達手段:クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。

 

前述の中小企構がクラウドファンディングの運営事業者と提携し、復旧・復興を支援する特別プログラムが開始されています。

 

<能登半島地震 クラウドファンディング>

https://chikapa.smrj.go.jp/saigaishien/

 

通常、集まった金額の1〜2割程度が手数料として差し引かれますが、被災事業者については、集まった金額の5%のみが手数料となり、手数料負担が軽減されます。

具体的な募集手続きや目標金額に到達するためのコツなどについて、専門家からの助言も得られます。

 

すでに多くの事業者がクラウドファンディングを開始していて、目標金額を達成しています。

補助金や融資に代わる、第三の資金調達手段として活用してみてはいかがでしょうか。

 

最後に

復旧・復興を支援する各種補助金や特別融資制度などについて、国や県による説明会が実施されています。

とくに事業者の方の関心が高い「なりわい再建支援補助金」については、まもなく募集が開始される見込みです。

ただし、公的な支援を受けるためには、事業計画を策定したり、必要書類を準備したりと手間と時間がかかります。

また、審査に相当の時間を要すると想定され、いつ本格的な事業再建に着手できるかは不透明です。

 

もちろん、公的な支援が必須ではありますが、それだけを頼っていては再建への道筋は見えてきません。

まずは自力でできることを積み重ねていくしかありません。

 

当会では、補助金活用、資金繰り対策、雇用維持など、さまざまな経営課題についてご相談に応じています。

当会の会員の中には、中小企業診断士資格のみならず、行政書士や弁護士、IT関連資格など、他分野の知識を有している会員が所属していますので、ワンストップでの対応が可能です。

 

一日も早い復旧・復興に向けて、当会も一丸となって取り組んでまいります。

どんな些細なことでも構いませんので、復旧・復興に向けた取り組みについてご相談したいことがあればぜひお問い合せください。

 

復旧・復興に向けた取り組みについて相談する