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融資対策

多額のゼロゼロ融資返済の助け舟となるか!? 金融庁が推奨する「資本性劣後ローン」の特徴・留意点とは

去る11月27日、政府と金融機関による意見交換会が開催されました。
同会にて政府は金融機関に対し、多額のコロナ融資返済に困窮している事業者への積極的な支援を要請しています。

 

要請された支援策のうち、今後注目を集めそうなのが「資本性劣後ローン」でしょう。

あまり馴染みがない言葉ですが、従来の融資とは異なる枠組みであり、資金繰り改善の一助となる可能性を秘めています。

 

今回は「資本性劣後ローン」について解説します。

 

借入金を資本に組み込むことができる

資本性劣後ローンは、別名「資本性借入金」とも呼ばれ、借入金でありながら資本に準じた取扱いができます。

下図は、通常の融資と資本性劣後ローンによる融資を比較したものです。

 

 

 

仕組み自体は2004年から存在していましたが、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」では対応しきれない事業者への「次の一手」として注目を集めることとなりました。

 

資本性劣後ローンの特徴は次のとおりです。

 

資金繰りが改善する

原則として、期限一括返済です。

期間中は元金の返済負担がなく、利息のみの支払いとなるため、資金繰りが改善する効果が見込めます。

 

業績連動型の金利設定

金利水準は一定ではなく、業況悪化時は金利が低くなります。
業績悪化時には支払利息が少なくなるため金利負担が軽減されます。

 

最近では、日本政策金融公庫が「新型コロナ対策資本性劣後ローン」の取扱いを開始しています。

無担保・無保証での利用が可能など、一般的な資本性劣後ローンよりも利用しやすい制度設計になっています。
受付締切は2024年6月末までです。

 

詳細については、日本政策金融公庫WEBサイトをご覧ください。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html

 

資本性劣後ローンを利用する前に知っておくべき留意点

ここまで解説した内容だけ見ると良い事尽くしに思えますが、もちろん留意点もあります。

 

あくまで「借入金」である

資本性劣後ローンは「資本としてみなされる」に過ぎず、借入金であることに変わりはありません。
期限が到来すれば返済しなくてはなりません。

 

総支払額が多くなる可能性がある

業績が回復し、手元資金に余裕が出てきた場合、通常の融資であれば繰上げ返済を検討する余地が生まれます。

一方、資本性劣後ローンは一括返済が原則ですので、繰上げ返済はできません。
期限中は、借入れ当初の元金に対する利息を支払い続ける必要があります。
最終的な総支払額は、通常の融資よりも多くなる可能性があることを認識しておいてください。

 

高い金利水準が設定される

劣後」という文字からわかるように、資本性劣後ローンは、通常の融資よりも返済の優先順位が低く設定されています。
事業が行き詰った場合は、その事業者から回収できる可能性がかなり低くなるため、金融機関にとってはリスクが高いのです。
そのリスクに見合うだけの金利水準が設定されており、通常の借入金より高い傾向にあります。

 

業績連動型の金利設定

業績が向上した場合、金利が高くなり支払利息の負担が増加します。
業績が悪化したときとは反対の事象が起きるのです。

 

有利な制度ほど利用するためのハードルは高い

資本性劣後ローンを利用する際には、早期に事業を回復・成長軌道に乗せ、収益(内部留保)を積み上げ、期日までに返済原資を確保しなくてはなりません。

よって、この制度を利用できるのは業績が改善する見通しが立つ事業者に限られます。

 

しかも、金融機関は事業の進捗を厳しくチェックしますから、金融機関への対応などに相当の負担がかかります。

 

金融機関からの信頼を獲得できない限り、この制度は利用できないのです。

 

金融機関に信頼されるには、実効性の高い事業計画」が必要です。
事業計画を策定する際には、専門家の助言を受けることをおすすめします。

第三者の視点が入ることで計画の精度が高くなるほか、自分では気づかなかった視点やアイディアが生まれ、思い切った施策を講じるきっかけにもなります。

 

当会には、かつて金融機関に勤務し、事業計画の策定をサポートした経験のあるコンサルタントが所属しています。

 

今回紹介した資本性劣後ローンのほか、金融機関との融資交渉、事業計画策定について相談したいことがあれば、ぜひお問い合わせください。

 

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