去る11月11日・12日の2日間にわたり、「秋の行政レビュー」が実施されました。
行政レビューの目的は、各省庁の事業進捗や施策の効果を検証し、質が高く効率的な行政を実現することです。
そのレビューで、批判の的となったのが「事業再構築補助金」です。
「専門家から、廃止を含めた抜本的な見直しや新規採択の停止を求める意見が続出した」との報道が相次いでいます。
同補助金については、未執行の予算が残っていることから、すぐに終了するとは考えにくいです。
とは言え、今後も継続する保証はありませんから、早めに活用しておきたいと考える事業者は少なくないでしょう。
ただし、補助金ありきで今後の計画を考えるのは極めて危険です。
補助金欲しさに、絵に描いた餅のような計画を立てても、成果が出なければ申請にかけた時間と労力は無駄になります。
今回は、補助金との正しい向き合い方について解説します。
補助金には ”返還義務” がある
「融資とは異なり、補助金は返済しないで良い」と言われますが、果たして本当でしょうか。
実は、補助金によっては「収益納付」が規定されています。
補助金を使って収益が生じた場合、交付された補助金額を上限として国に納付しなければなりません。
代表例な補助金である「ものづくり補助金」にも同規定があります。
案外、この規定を知らない方が多いようです。
では、収益納付が規定されていない補助金には返済義務はないのでしょうか?
それも違います。
そもそも補助金の原資は「税金」です。
支給する側からすれば、補助金を有効活用して収益を上げてもらい、「納税」という形で回収しなければなりません。
だからこそ補助金を申請する際には経営計画の策定を義務付けており、収益の向上、ひいては納税の可能性が高い事業者を選定しているのです。
補助金を有効活用し、納税という形で国に貢献することは受給者の責務だということを認識しておくべきです。
計画策定を専門家に丸投げするのは愚行の極み
このブログでも何度か解説していますが、計画を策定するのは経営者の責任です。
にもかかわらず「計画を作ったことがないから代わりに作って欲しい」という依頼が後を絶ちません。
もちろん、計画策定は大変な作業ですから、私たち専門家も可能な限りサポートはします。
しかし、自分がどうしたいのかを決めるのは経営者の役割です。
残念ながら一部の専門家は、自分でシナリオを作ってそれっぽい計画に仕上げ、そのまま申請しています。
事業再構築補助金が開始した当初、ある支援機関が同じ雛形の計画書を使い回ししていたことが問題になりました。
着手金と成果報酬に目が眩んだ愚行と言わざるを得ないのですが、私たち専門家も経営者も、補助金の本来の役割を十分理解し、高い倫理観を持って補助金と向き合う必要があるのです。
苦労した分だけ成果を得られる可能性は高くなる
実際、計画を策定するのは並大抵のことではありません。
いざ着手すると、「ああでもない」「こうでもない」と思考が行ったり来たりして、なかなか作業は進まないものです。
途中で投げ出したくなることもあるかもしれません。
しかし、思考を巡らせることで、徐々に計画に具体性が生まれ、実現可能性が高まるのです。
思考が煮詰まった場合は、私たち専門家に相談してください。
私たちとの対話を通じて、アイディアが浮かんだり、方向性が定まったりすることはよくあります。
当会では、自らの決断と行動に責任を持ち、事業を伸ばしたいと本気で考えている経営者の皆さまに寄り添う「伴走支援」を実施しています。
さまざまな経験や知恵を持ったコンサルタントが所属しており、皆さまのお役に立てると自負しております。
補助金を有効活用して事業を成長させたいと真剣に考えている事業者様からのご相談をお待ちしています。