事業が成功するかどうかは、経営者の双肩にかかっています。
それ故、経営者にはさまざまな能力が求められるわけですが、具体的にどのような能力を備えておくべきでしょうか。
この質問に対する答えとして、
- 市場の将来性を見通す先見性
- 人の心を掴むコミュニケーション力
- どんな苦境にも挫けない信念
- 次世代の人財を育成する力
など、いろいろな項目が出てくるのですが、総じて「成長」や「攻め」などのイメージを想起させるものが多いです。
忘れがちなのですが、危機をいち早く察知して適切に対処する「危機管理能力」も重要です。
噛み砕いて言えば「頼る力」です。
この「頼る力」を発揮できなかったために、苦しい状況に追い込まれている経営者をたくさん見てきました。
今回は、経営者が備えておくべき「頼る力」について解説します。
9割の経営者は「頼るタイミング」を逸している
当会に寄せられる相談の多くは、手元資金が枯渇していて追加融資を受けることが難しい状況に陥っています。
こうした相談を受けるたびに感じるのが、
「もっと早く相談して欲しかった」
ということです。
タイミングが遅くなるのは、
- 弱い自分を見せたくない
- 失敗している現実を受け入れたくない
などの意識が働くからでしょう。
高い志を持って事業を展開されている方であるほど、外部の支援者に頼ることに及び腰になる傾向があります。
選択肢が多いうちに頼ることは経営者の責務
業績を改善するには、宣伝広告のやり方を変えてみたり、品揃えを強化したりと、多かれ少なかれその施策を実行するための資金が必要です。
手元資金が枯渇し、追加融資も受けられないとなると、資金を投じる施策を打てなくなるので、自ずと施策の幅が限定されます。
そんな状況で、私たちから提案できることと言えば、
- 日々の業務を効率化してコストダウンする
- 無料で開設できるSNSを活用して口コミを増やす
など、ごくごく当たり前で地道な取り組みくらいです。
しかし、危機的状況に陥っている経営者は、往々にして一発逆転のウルトラCを求めがちです。
中には「もっと他にないのか」とコンサルタントに詰め寄る方がいます。
厳しい言い方ですが、危機的状況に陥ったのは、紛れもなくご本人の責任です。
にもかかわらず、コンサルタントに八つ当たりするのは筋違いな話でしょう。
売上や利益を確保するのと同様に、危機的状況に陥る前に、いち早く「頼る」ことも経営者の重要な責務なのです。
私たちは頼られるために存在している
優秀な経営者ほど、自分ひとりでできることの限界を認識しており、効果的に「頼る」スキルを活用しています。
新型コロナやウクライナ情勢など、いつ何が起きるかわからない時代にあって、「頼る」スキルの重要性は増していくでしょう。
ご自身の力でなんとかしたいという気持ちは理解できますが、自分の力だけでは対応しきれないと分かった時点で、然るべき支援者に頼ってみてください。
私たち石川県中小企業診断士会は、経営者の皆様から頼られるための支援機関です。
当会に所属するコンサルタントは、数多くの経営支援に携わってきた経験やノウハウを身につけていることはもちろん、地元企業の支援を通じて地域を盛り上げたいという使命感に溢れています。
本格的な経営支援はもちろんのこと、ちょっとした悩み事や施策の是非について意見が欲しいなど、臨機応変に対応いたします。
まずは「頼る」の一歩を踏み出してください。