新型コロナの収束により日常生活が戻りつつあるなか、外出制限などで大きな痛手を受けた外食産業は、経営再建に向けて積極的に動き始めています。
しかし、一度離れた人を呼び戻すのは至難の業。
さらに、外食産業は新型コロナ蔓延時に職を離れた人が多く、深刻な人手不足に陥っています。
そうした外食産業を支援するための補助金として「外食産業事業成長支援補助金」の公募が、昨年に続いて開始されました。
本補助金の概要と審査に通りやすくなるポイントを解説します。
<「外食産業事業成長支援補助金」専用サイト>
https://jmac-foods.com/adopted/1346/
申請要件
2021年度から2022年度の売上伸長率が115%以下
上記の条件を満たさない場合でも、2022年度の売上が2019年度比で100%以下であれば申請要件を満たします。
つまり、直近の売上が回復傾向でも、新型コロナ以前と比較して売上が落ち込んでいれば申請要件を満たします。
補助対象事業
具体例として以下の取組が補助対象事業に該当します。
公募要領によると、外食産業への普及推奨モデルになると判断される取組については、優先的に採択・公表を行う、とのことです。
たとえば、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した販促活動や生産性向上、地域活性化といった、国や自治体が積極的に推進している施策に沿うものであれば、採択される可能性は高くなるでしょう。
公表されている採択事例の中には、DXや地域活性化など、時流を捉えた取組が紹介されています。
補助金額・補助率
補助金額:100万円以上1,000万円以下
補助率:1/2以内
下限が設定されており、総事業費200万円以上の計画が対象です。
この補助金は、外食産業の「業態転換」を促すことが目的なので、店舗改装や販売システム導入といった、大規模な投資が伴うことを前提としています。
公募締切
2023年5月31日(水)17時まで
応募書類はWEBの応募フォームから提出してください。
なお、応募の際には、専用アカウントを取得する必要があります。
WEBでの受付ですので、締切直前になると専用サイトへのアクセスが集中して画面が開かない可能性があるので、余裕を持って準備をしましょう。
今回は、第1次公募なので、準備が間に合わない場合は、次回以降に申請することができます。
ただ、複数回にわたって募集される補助金は、1回目の採択率が高い傾向がありますので、具体的計画を策定している、もしくは策定の目処が立っている場合は、今回の期限内に申請することをお勧めします。
審査基準を踏まえた事業計画づくりが極めて重要
公募要領の最終ページに8つの審査基準が掲載されています。
1.事業内容
① 事業内容が、事業成長を行うための施策として明確かつ具体的になっているか。
② 事業内容に見合った経費で、精度の高い積算がなされているか。
③ 事業内容が、単に自社に対してだけではなく、優良事例として広く普及が期待できるものであるか。
2.実施方法
④ 実施スケジュールが、事業を効率的に進め、本事業の期間内に無理なく完了させる内容となっているか。
⑤ 事業を着実に実施できる体制(共同事業者の支援内容を含む)を有しているか。
⑥ 事業を着実に実施できる経営(財務)基盤を有しているか。
3.成果目標
⑦ 事業の成果目標の設定理由およびその水準(定量値)が妥当か。
⑧ 成果目標を検証できる仕組みが講じられているか(データの取得・検証方法など)。
得てして補助金の審査基準は、最後に掲載されていることが多く、表現内容が一般的であるせいか、審査基準をきちんと把握していない事業者が多いです。
当然のことですが、審査基準に基づいて審査が実施される以上、無視するわけにはいきません。
たとえば、⑥経営(財務)基盤であれば、メインバンクから融資の内諾を取り付けていることを証明すれば説得力が増すでしょう。
どのような情報を盛り込めば、審査基準を満たすことになるかをしっかり検討した上で事業計画を策定しましょう。
共同事業者との共同申請が必須
この補助金は事業者単独で申請するものではなく、「共同事業者」とともに申請する必要があります。
共同事業者とは
コンサルタント、金融機関、中小企業診断士、機械・機器・システムの製造・販売業者、施設・設備の建設・施工業者、飲食関連サービス提供者及び資本関係にない他の飲食店等であって、業態転換等による経営成果をより高めるために、業態転換等事業実施者と共同して事業の計画及び実施内容の検討、実施・報告支援を行う事業者
のことです。
多くの事業者は事業計画を策定した経験がありません。
また、何かを変えたいけども何から着手してよいかわからないと悩んでいる事業者が大半でしょう。
だからこそ、第三者による支援を推奨しているのです。
共同事業者の中には中小企業診断士が含まれています。
当会に所属するコンサルタントは、すべて中小企業診断士資格を有しており、飲食店向けの事業再建に携わった者が多数在籍しています。
本補助金を活用して、売上拡大および人手不足を解消を目指したい飲食事業者の方は、ぜひ当会にご相談ください。
本記事は公募要領に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、信頼性、完全性を保証するものではありません。
申請の際は必ずご自身にて公募要領をご確認のうえ、ご自身の責任において申請していただくようお願い申し上げます。